Blowin' In The Wind



Dylan。今夜が最高、が続いています。演奏がもちろん素晴らしいのですが、昨晩は選曲の意外性に頭までホットになってしまいました。3曲目に2010年初登場のJust Like Tom Thumb's Blues。メロディーを抑えた力強い表現で、曲の峻別に手間取りました。ギターを手にした1曲はギター向きとは誰も思わないMake You Feel My Love。最後の曲の前に短く挟まるメンバー紹介のあいだにDonnieがヴァイオリンを鳴らしているので、All Along The Watchtowerの新アレンジが聴けるのかなと思っていると、なんと始まったのは去年の5月から封印?されていたBlowin' In The Windでした。去年4月にパリで聴いたのとほぼ同じアレンジですが、はるかに力強い演奏。前回、一緒だったディラン初体験者の「風に吹かれては、歌わないの?」に「ラスト5曲は去年夏から完璧に固定されているので登場はあり得ませんね。」と自信を持って応えたほど、76回続いたAll Along The Watchtowerのトリに終止符は予想外でした。演奏中にローディがCharlieの控えのギターを入れ替えに出てきたので、もしやアンコールもう1曲と期待しましたが、それは叶わず。ラストを含めLay, Lady, Lay 、Every Grain Of Sand、Sugar Baby、Make You Feel My Love、Po' Boy、I Feel A Change Comin' Onとバラード系が多かったのも特色。たまたま私の席は昨晩だけ2階指定席。おそらく関係者ばかりと思われる200席は1階の熱気とは隔絶された別世界。「陽水が来ていて、後で楽屋に・・・」といった囁きも耳にしてしまいました。熱いステージを鳥瞰的に遮るものなく視野におさめることができるのですが、臨場感、一体感という観点からは1階にかないません。椅子にからだを落ちつけて聴くのに比較的適した選曲だったのはラッキー。Love And Theftから5曲も歌われたのも珍しいことです。選曲は開演少し前に決定されてキューシートがつくられるのだそうですが、思いつくまま、なのでしょうね。 ほんとうに、不思議な人です。前日と同じ曲はわずか5曲。東京5日間では49曲。2010年通算12日間で59曲。驚くほどヴァラエティ豊かな選曲です。大阪が遠い過去になり始めました。 話は無理やり跳びますが、大阪市営地下鉄の女性専用車は徹底していました。東京で一般的な時間決めでなく平日の終日を専用としています。しかも専用車一両だけが白系になっていてぱしっと目立ちます。解りやすい。御堂筋線はホームの空間も立派です。エスカレーターの立ち位置が大阪と東京で違うのは不思議ですが、なんと名古屋はほとんど歩かない習慣に変わりつつあるようでした。一部東京式の名残がありましたが・・・。葱も大阪と東京ではモノも食べる部位も違っていますが、名古屋には青白両方を食べる「名古屋葱」があるそうです。狭い国なのに面白いですね。
100327o.jpg

When The Deal Goes Down



Dylan終演後、有明から湾岸の夜景を楽しみながら事務所近くまで戻り、[二軒家アパートメント]仲間4人でワインで感動を再確認。 クライアントと私の双方がDylan好きだったことが縁で[二軒家アパートメント]ができあがったわけですからこうして一緒にDylanを体験できて感無量です。この宴のディテールは後日お伝えします。ディラン・バンドは絶好調。A Hard Rain's A-Gonna Fallが今夜のお気に入り一番。2010年初登場When The Deal Goes Downが12曲目にやっと登場。写真は名古屋の旨いもの一番「あつた蓬莱軒の櫃まぶし」。ここのはやはりおいしかった。山葵、あさつき、海苔を鰻丼に和えるの二膳目が一番好きかな。いろいろやってみようという名古屋スピリッツ大好きです。
100327.jpg

It's All Over Now ,Baby Blue



東京2日目のDylan。ノリも抜群でしたが選曲が良かった。一語一語噛み含めるように力強く唄われる強烈な反戦歌John Brown、Master's Of Warが感動的。お気に入りのForgetful Heartも登場。Under The Red Skyでのボブのギターもよかった。ここまでに挙げた好演は何れも大阪5日目でも歌われた曲。4回目の登場となる新アレンジのShelter From The Storm も地に足がつきました。いい。おまけに2010年初登場の1曲がIt's All Over Now ,Baby Blue。文句なし。ロックバンドとしてのノリも確かにみごとなのですが、いい曲を再表現するボブの燻銀の歌唱力が最大の魅力であると確信しました。
写真は2007年に登場した新幹線N700系。ユーロスターのような旅の楽しみとは無縁ですが、通勤電車に匹敵する頻度で運行されているわけですから、機能性に特化して洗練させるデザインは間違っていないと思います。各座席窓下部にコンセントが用意され、wifiなどによるインターネット接続が可能になっているのもうれしい。私が使っているairHだと停車の前後以外は移動速度が速すぎて接続がもどかしい感じでした。よく乗るような仕事が来たら接続契約をします。
100324a.jpg100324b.jpg
100324c.jpg100324d.jpg

Mr. Tambourine Man



いよいよボブは東京。やはりzepp。激しい風が吹き荒れて鉄道にも影響が出ているようなので早めに出かけ、新宿で乗り換えたりんかい線の一つ空いていた席に座ったら隣りが「東京ボブ」さんでした。奇遇。大阪、名古屋での7日間を語り合いながら東京テレポートへ。やはり近いとは言えないけれども、大阪zeppに比べればまわりはかなりにぎやか。さすが大都会です。会場の人口密度は大阪と名古屋の中間。整理番号が600番台なので今までで一番ステージから遠いバーを背にする位置を選びました。抑えぎみの選曲で休みと移動を挟んだせいか前半のノリはいま一でしたが、10曲目の初登場曲 Mr. Tambourine Manから目覚め始め、去年10月からずっと変わらない終盤のHighway 61 Revisited、Ballad Of A Thin Man、Like A Rolling Stone、All Along The Watchtowerできっちりライブが締まりました。最近生み出された妙にノリのいい「クリシェ」より40年以上前の強烈なオリジナリティが好きです。写真は名古屋駅前の高層ビルの裏側に用意された立体駐輪場のサイン。この建物ではこれが一番だな。
100322.jpg

Every Grain Of Sand


(これは去年のChicago。この出来は今年はまだ超えていません。)

32年ぶりに猫おじさんとDylanを聴きました。整理番号が500番台だったのとつれあいが年寄りだったのとで、今夜は無理をせず二枡目のバーを背にした場所を選びました。大阪よりは密度が低いということもあって、しっかりと体を動かせる環境でディランを堪能しました。からだが燃えました。ツアー初登場は2曲ですが。名古屋2日で27曲、前日と同じ曲は固定の6曲以外には1曲しかありませんでした。ぐいぐい押しきった感じの前日と違って、柔らかい曲を随所に挟んだ分、ハードな方に熱がこもりThunder On The Mountainはテンポも上がりました。Desolation Rowはバンドが気持ちよくのれたらしく、もともと長尺の曲が、何度も挟まるハープ・ソロやバトルでどんどん長くなり、最高のできになりました。でも、私の一番の感動はEvery Grain Of Sand。満足です。新幹線終電のホームで立見さん一行に再会。私たちの列車の一つ前で帰ったディラン・バンド・スタッフを見送りに来られたのだそうです。終電待ちの20数分間にコーチンを肴に生ビールを2杯強飲んでいたような私とは違った筋金入りです。えらい。ボブの動向はその時点では不明とのことでした。私の乗ったのぞみ最終、グリーン車にはボブは乗っていませんでした。
昼間は久しぶりの名古屋での時間を活かして建築探訪にでかけました。ガイドになる資料に載っている対象を完全制覇することについこだわってしまう性格なので忙しい一日になりましたが、収穫は大です。写真は大学の先輩でもある飯田善彦さん設計の名古屋大学野依記念物質科学研究館。見応えありでした。
100320.jpg

Dylanの音楽以外のモノを収集し始めると、収拾がつかなくなるので、グッズ類には近づかないようにしているのですが、今回はディランのLPジャケットを包み紙にしたディラン・チョコが登場。思わず行列に並んで手に入れてしまいました。かわいい。DECOチョコという商品群の存在自体を知りませんでしたが、一部世界にはかなり浸透しているもののようで、DECOチョコグッズと称する派生消費群がしっかり形成されていて、包み紙をマグネットやストラップに改造?することもできるようです。レコード会社とタイアップの正規商品で、収録曲の歌詞の一部を側面に印字する細かいつくりになっています。しかし50個もマグネットを作って、どうするのでしょう?。資源の浪費になってしまわないように、冷静に考えます。
100320a.jpg

Rainy Day Women #12 & 35

今日からディランは名古屋。セットリストがリセットされました。ツアー初登場は1曲目のRainy Day Womenのみ。大阪の5回で手応えを感じた曲が並んだ質の高い選曲になりました。これまでで一番タイトな演奏。ノリました。Can’t Wait、Love Sick、Shelter From The Stormに共通する地を踏み固めるかのような重いリズムが決まっていました。大阪5日目に続いてボブのギター演奏なし。ステージ・トーンが少しシフトしています。面白いです。同じzeppですが大阪と違って、名古屋駅歩10分の好立地。ハコは少し小さめですが定員の設定が適切なせいか、満員電車まではいかない、軽くからだを動かせる程度の密度です。空間のつくりは、特に内部は、そっくりなのですが、かなり雰囲気が違いました。ホテルへの帰り路に「山ちゃん」に寄ってトライした名古屋の味は、ビール以外はあいそうもないので、珍しくたくさんビールだけを飲みました。手羽先、エビふりゃー、ハムカツ、えびせん。いけましたよ。
100319a.jpg100319b.jpg
100319c.jpg100319d.jpg

Forgetful Heart



大阪の熱いオーディエンスへの返礼が大阪最後のライブで曲目にあらわれました。なんと8曲が初登場。これで5日通った人は通算48曲を聴くことができたわけです。私は今日も最前列。待っていたForgetful Heartがついに登場。コントラバスとヴァイオリンの弦の響きをバックに感傷的な詩がグリズリーの唸りのような声で綴られます。間奏のハープがまた素晴らしい。感動でした。Masters of WarもJohn Brownも言葉の意味を一つ一つ噛みしめるように伝える唄が、力強いリズムにはきちっとのっていました。どんなに盛り上がってもライブの最後はステージに6人がただ並ぶだけ。ディランが踵を返すのを合図に風のようにステージから消えて行くのですが、今夜のディランはからだをかがめ、踵を返すのに一瞬の間を残して、去って行きました。手応えを感じたのでしょう。よかった。
コンサートでの楽しみの一つは人との出会い。私にとってこれだけ趣味性の強いディランの場合は本来は「独り」なのですが大阪での一日は中村好文さんとご一緒しました。跳ねた後はまたまた「森清」そしてホテルのバーと続きひときわ味わい深い夜になりました。開場前には立見伸一郎さんとも再会。メールだけの仲だった「東京ボブ」を紹介していただきました。そう言えば32年前の初来日もちょうど今頃で、銀座のヤマハに徹夜で並んでチケットを求め、8回の武道館公演に日替わり仲間と通ったことを思い出します。ディランという細く強い糸で辛うじてよりを戻しかけようとしていた彼女と一緒に行くはずの一夜に、あろうことか振られてしまうという、苦い出来事も一緒に思い出してしまいました。それで10kgも痩せてしまうくらいナイーブだったということです。写真は中村さんのパリ蚤の市からのお土産。「ドッグ ハウス」。うれしい。
100317.jpg

Profile

image
kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

New Entries

Comment

Categories

Archives(4185)

Link

Search

Library