The Times They Are A-Changin’

Bob Dylanの初めてのホワイト・ハウスでの演奏は噂されていたJoan Baezとの共演ではなくウッドベースとピアノだけの伴奏でのアコギ弾き語りでした。The Times They Are A-Changin’。この歌が書かれて四十数年。悟りの境地に達したかのような穏やかな演奏でした。12日の1時まではYouTubeで観ることができたのですが今はブロックされてしまっています。残念。かわりにオリジナルが収録されている1964年のLPジャケット映像です。珍しいモノラル盤。うちにあるのはレプリカで、これはディランの公式レアリティを網羅したサイトからダウンロードしたものです。ここからアクセスすれば今ならビデオを観ることができます。
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scan by Hans Seegers
上が1963年、撮影はPPMのMaryの夫だったBarry Feinstein。下が2010年ホワイトハウスで。
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photo by Pete Souza

Jack Frost

Jack Frost。訳せば「冬将軍」。ワシントンはたいへんなことになっているようです。こちらでは暖冬ゆえに厳しく感じる時々の北風くらい。Jack FrostはDylanの最近のCDにプロデューサーとして記載されているDylan自身の変名でもあります。写真はもう20年以上前にニューヨークで手に入れたペーパーナイフ。冬の夕方の陽で美しい影ができあがりました。本体は恐竜のかたちをしています。真鍮の表面に細かい鏨の跡がたくさんあって、金属なのに柔らかい感じです。
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quantum song

quantum、量子。Dylanの公式サイトで興味深い投稿に出会いました。Changing of the Guards: A Quantum Song。1978年発表のStreet Legalの一曲を量子論に関連付けて読み直しているのです。「お遊び」なのですが、そこに登場するquarkが実に面白い。受験の物理で習ったかどうかさえ記憶にはなく、つい最近の小林さんと益川さんのノーベル物理学賞受賞を機会に出会った程度だったので、ネットで少し学習を試みました。さっぱり解りません。が、6種あるquarkと呼ばれるものに、動きを表すup、down、位置を表すtop、bottom、素性を表すstrange、charmと3組の対をなす名前がついている「しくみ」に惹かれてしまいました。この要素にからめてなら詩にもなるし、思想にもなるし、哲学にもなりうる。でも物質の最小限の要素であるquarkがどうして?・・・・。もう少し勉強しておくんだったなあ・・・・。驚いたことにこのquarkという単語はJames JoyceがFinnegans Wakeのなかで造った言葉がもとになっているとのこと。知の世界は際限なく広がっていくのだなあ。そう言えばDylanの詩のなかにも最近Joyceが出てきていたなあ、とアタマは時空を駆け巡りながら、SACD版のStreet Legalを味わいました。1978年の初来日の時とほぼ同じつくりこまれたケレン味あふれる演奏も曲によってはきわめて上質であることを確かめました。Changing of the Guards の歌詞。冒頭のSixteen yearsの後に続く掴みどころのないSixteen banners united over the field。その後さらに繰り広げられる不可思議な世界はquantum云々というよりJoyceなのかもしれません。目の前ではフクが昼前の惰眠。ある、ない、あるかないかわからない。モノの本質は奥が深いんだなあ。
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kinoshita
木下道郎 ・ 建築家
詳しくはworkshop-kino.com

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