
西宮へ仕事の旅 締め。使い始めてやっと一年のiPhone6は便利だなあ。facebookにアップした夙川の写真の近くに教え子の実家があることが直ぐわかりました。芦屋にOGが出張で来ていることも伝わってきましたが残念ながらニアミスに。現場は阪神芦屋駅前だそうですから私はその直ぐ横を通って梅田へ。旅の締めに決めていたガード下「新梅田食道街」には5時前に着いてしまったので「たこ梅」のおでんで一杯やってから立ち飲み屋「北京」へ。カウンターに置いたキャッシュがデリバリーごとに減っていく飲み過ぎにくい粋な店。かなり狭い空間はほぼ常連で埋め尽くされ、酒を介した人のつながりで成り立っている空間。それでいて余所者にも身の置き所はあるところが浪速らしいと余所者は感じる。急速に変わりつつある梅田再開発の大波もまだ暫くここまでは届かないようだ。開いたばかりの時に撮った不思議なセルフィーの下の方に名物の「エッグ」が写っています。激熱の陶器の小鍋に生卵2個と塩を入れただけのものなのだが、混ぜながら刻々変化する様々の容態を楽しめる絶妙のアテなのです。

やまどりは群馬の県鳥でそれに因んで「やまどり」と名づけれれたのがJRの485系特別車輌。大宮・長野原草津口間を走る「リゾートやまどり」は快速なので指定席料金\520の追加だけで乗れる。18きっぷを使うと特急往復\9,760のところ\2,890になる勘定になるのでたいへんお得、である。しかも1列が2人掛け+1人掛けのゆったり配置は特別なグリーン車だけの仕様で「リゾートやまなし」の固定ボックス席とは格段の差がある。この日は予約完売。始発の大宮駅に着くとあろうことか熊谷で人身事故。永い待機に備えてベンチを探しているとカップルの男性の方が席を譲ってくれて、ありがとう。カップルはふたりともテディベアをかかえていてやはり18きっぷで「やまどり」。同じようなことを考える鉄道ファンは少なくないようなのは、うれしいのかさみしいのか複雑(笑)。籠原駅の高崎寄りにある車両基地から回送されてくる車輛が大宮に着くのは難儀で結局2時間以上の遅延。特急券なら2時間遅延で払い戻しだがただの指定券にはその規定がありません。JRも現金なもので後発の特急が1時間遅れくらいで先に行ってしまいます。テディベアのカップルがホームに並んで先に行く列車の車窓にクマの手を振っています。不可思議な情景。こちらは目的地は一応あるものの「やまどり」が主題なので待つ以外の選択肢がないことはJRも承知しているようで情報はろくに伝わってきません。テディベアの彼が足繁く階上に通って情報を伝えてくれるのが救いでした。結局4時間以上あったはずの吾妻線での時間は半分に減ったけれども「やまどり」運休は免れ渋川で無事途中下車してハラミュージアムARCへ。すっかり仲良くなったテディベア2匹が渋川駅ホームの窓の向こうで手を振って送ってくれました。いろんな人がいるんだなあ。同じようなことを考えていても他のことについてはひとさまざま。朝7時45分に同じ線の上で誰かが命を絶っている。2時間半待った人々は誰一人文句も言わず時間を楽しんでいる。寒くなるのとは違う感じの味わい深い「やまどり」の旅でした。鳥のやまどりもかわいい。

シャトーメルシャン勝沼ワイナリーではワインも楽しみました。中庭の葡萄棚にもしっかりと葡萄が実りいい雰囲気です。ワインにまだあまり慣れていない学生たちが気に入ってくれてぐいぐい行ったのはうれしかったな。やっぱり一番人気は日本固有種の甲州。おくゆかしい品種で香りが派手ではないかわりに仕立て方で風味が個性を発揮します。3種を飲み比べて「黄いろ香」が特に受けていました。写真は垣根式の試験ブドウ園の甲州。透けて種が見えますからかなり糖度は上がっていますが、日本生まれの甲州は湿気に弱く棚式の方が生育がいいのだそうです。余談ですが「ケルナー」というドイツ系の葡萄の白が勝沼限定で売られていたのでゲット、暑い日に飲んでみましたがドイツ系特有の甘さが低めでいけました。


インターンシップの学生たちを連れて今年竣工した富士ミネラルウォーター[aqua gallery]と2010年竣工のシャトーメルシャン勝沼ワイナリーへ。作品を体験してもらうことが設計事務所を理解するのに役立つだろうと考えました。[aqua gallery]の展示計画はまだ着手前で一般公開はもう少し先。どちらも山梨県なのですが2地点を結ぶ鉄道の便が悪く、富士吉田に向かうバスは新宿発8時15分。この路線は富士急ハイランドに行く学生たちや富士山に向かう外国人でいつも混みあっているのですがこの日は初老?のグループツアの一群が目立ちました。定年後年金生活になって時間をもてあましているのだと思われる元気な人たちの一行。流れに合わない自分たちの挙動が他の客の迷惑になってしまっていることに気づくのに時間がかかり過ぎ。そう言えば先日の西宮でランチに入った居酒屋で隣り合わせてしまったのも同類項。昼から酒を飲み与太話で超うるさい6人組がお店からラストオーダーを宣告されて焼酎のボトルを追加している醜態に衝撃を受けました。歳は私とそう違わないはずです。こういう現実があるんだなあ。もう同年輩どうしでは飲まない(笑)。仕事がある幸せをしみじみと感じました。旅から学ぶこともいろいろ。


厚木の住宅街に建つ個人の音楽堂でのコンサートに出かけました。設計は小川真樹さん。近在のソプラノ歌手大島富士子さんと建築の出会いからこのコンサートシリーズが始まったのだそうですが、今年4月に彼女が亡くなってこの第6回が最期。彼女のウィーン国立音大での同胞が演奏するゆかりのブラームスのヴァイオリンソナタ完全全曲。気持ちのこもった音楽にホールの音の良さを忘れてしまうほどでした。1番「雨の歌」と3番のAdagioが好き。アンコールの声楽曲リヒアルト・シュトラウスのMorgen! と「夏の思い出」に胸が熱くなりました。声の響きが特に素晴らしい建築だと感じました。人が建築と作り出すかけがえのない時間を共有させていただいて、私にもいい思い出ができました。ありがとう。
facebookにも数枚写真をアップしています。

西宮へ仕事の旅つづき。1995年の大震災の被害は灘も甚大でした。20年が経ってなんとか立ち直りつつあるというところなのでしょう。白鹿酒造に展示されている写真が惨状を如実に伝えています。小さいころ神戸は御影石でできているから地震は来ないと聞かされていました。美しき佳き我が国には地震があるということを忘れてはいけません。原子力発電所の立地不適合は明白です。よりによって川内と伊方は大活断層際です。