瀬戸内寂聴の「奇縁まんだら」、今週は小林秀雄。書かれたものを読んだことさえありませんが、近づいてはいけない評論家としておぼろげに私の中に生まれつつあったイメージに、いつもながらの軽妙な筆致で描き出された人間像がぴったりと重なって、まさに膝を叩きました。河豚を食べに行って先ず並んだほかの酒肴に激昂とか所望したブランドと違うブランデーを出されて激怒とかのエピソードは、ただの酒癖が悪いオヤジであれば虫の居所が悪かったといった程度のはなしですが、「目利き」としての大看板を背にした傍若無人だとなると感じが悪いでは済みません。その大看板の裏にある「おれがいいと言えば、その品は、よくなるんだ」を瀬戸内さんが披露してオチにしてくれたおかげで気持ちすっきり読み終えることができました。この手の輩のまわりには近づかないにこしたことはありませんが、出くわしてしまったとしても尻尾は絶対ふらないぞ。写真は新聞を愉しむ私の傍で床暖の温もりをむさぼる動物たちの手、いや足かな。彼らはいつも一点の曇りもなく幸せかな。

ソウル2004年冬¶また民俗村。ただの古民家ではなく生活もそこにあるところがいいと思いました。まわりでは野菜もつくっています。のどかだなあ。

勝沼も暖か。夕方になると急に気温が下がり空は冴えわたりました。飛行機雲が幾筋も交差した後、少しずつ青味を闇に預けていく空にくっきりと三日月が浮かび上がっていました。

家の前の電線。よく見ると色々なものが取り付けられています。烏。何を考えているのでしょう。

昨日に続いて穏やかな朝。寒さは幾分やわらいだよう。朝風呂の後、新聞にじっくり目を通しながら、音楽はDylan。1997年のTime Out Of Mind。ひとり大きな音量で聴くとプロデューサーのDaniel Lanoisの細やかな仕掛けがよくわかります。生撮りでありながら現実感を喪失したかのような不思議な音像。Dylanはお気に召さなかったようですが独特の世界が構築されています。佳曲が多く、最近のライブでも多くの曲が新たな姿を与えられて取り上げられています。そんな時間の中で露出時間を選びながら切り取った情景。手元の日経から拝借して題を「冬の栖」にしましょう。
